ニューヨーク・マガジン • ザ・ストラテジスト

ジュディ・ローゼンのノリータ・デニム・ブティックには、マスタードイエローの球体が鎮座している。手のひらにのせると、まるで特大の1ボールのように、程よい重みを感じる。その側面には、肩の高さで持つ小さな反射ガラスが取り付けられている。これが「お尻ミラー」だ。あなたは毒リンゴを握りしめるマレフィセントのように、大きな全身鏡に背を向けてポーズをとる。この二重反射のテクニックは美容院ではお馴染みだが、ローゼンが今年初めにエリザベス・ストリートにオープンした小さな店では、この単純な後知恵が、妙に不道徳に感じられる。

ジュディ・ローゼンの新作パンツの発売は、まるでシュプリームのドロップのようだ。ただし、並んでいる客が、陰気なジェネレーションZのハイプビーストではなく、ここ20年ほどウエストビレッジに住んでいる、クロッグを履いた少し白髪気味の女性だったらの話だが。6フィートのウールのヘビ（ローゼンは大人の人形と呼んでいる）の下に座って、ローゼンの巨大なゴールデンドゥードルが隣人の小さなゴールデンドゥードルに激しく腰を下ろし、クラウスナーがローゼンのジーンズをはいた彼女の尻を釘付けに見つめているのを見ていると、シュプリームから実際には300フィートほどしか離れておらず、今は2019年ではなく2004年だということを、うれしく忘れがたい。ローゼンの商品が時代遅れに感じられるわけではない。彼女のパンツ ― ハイウエストでフレアで、とても似合う ― は、実際には積極的にトレンド感を感じている。